企業の大小にかかわらず、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の活用により、管理部門業務を改善できる場合があります。特にベンチャー企業に相性が良いように思います。

ベンチャー企業の課題

少ない資金と人的リソースを企業の成長に振り向ける必要のあるベンチャー企業にとって、以下のような課題に突き当たっている場合が多く見られます。

(1)専門スキルを持つ人材の不足
ベンチャー企業において優秀な経理財務、人事、法務等の採用は至難の技です。

(2)少人数オペレーションによるキャパオーバー
収益的に安定していないベンチャー企業では管理部門に余裕を持った人員の配置は困難です。そのため慢性的にキャパオーバーな状態が続き、疲れ果てて社員が退職する場合も見られます。

(3)質の低下
上記の状況もあり、一つ一つの業務が雑になる傾向があります。

(4)業務停止リスク
管理部門が最小人数で動いているため、担当者の病気・退職等による業務が止まるリスクがあります。

(5)法的リスク
長時間労働による労働基準法違反のタレコミ、人事ノウハウの不足による退職者との紛争が発生する場合があります。

(6)企画力の不足
管理部門が作業に追われるため、本部機能としての戦略的な企画・統制機能に時間を割く余裕がなくなる傾向があります。

BPO活用の壁

これら課題を解決するための対策の一つとして、BPOの活用が考えられますが、以前は以下のような理由でBPOが有効な手段としては考えられていませんでした。(私見です)

  • アウトソーサーの業務品質の課題
  • リアルタイム性の課題
    − 1ヶ月分をまとめて処理する場合が多かった
    − 会計システムが企業と繋がっていなかった
  • コストが割高

BPOサービスの進歩とメリット

しかし、従来は片手間に記帳代行の一貫として行っていた税理士事務所が新たな収益源としてBPOサービスに本格的に取り組むようになってきたため、業務品質、コスト、リアルタイム性の各ポイントにおいて、企業にとってメリットがでるようになってきました。クラウド会計・給与システムの普及により、大きな投資なしに企業と繋がることができるようになってきたことも、BPOの有益性を後押ししています。

企業は、以下の業務をアウトソーサーに委託できます。

  • 仕訳からデータ入力
  • 社員の経費精算、請求書支払データの作成(会計データ、バンキングシステムデータ)
  • 月次決算処理、四半期、年次決算処理
  • 給与計算業務(給与計算+支払データ作成)
  • 年末調整、法定調書作成

企業は、アウトソーサーの処理したデータをクラウドを活用してネット越しにチェック、承認を行い内部統制をかけることができ、本部機能としてやるべき分析や経営管理業務に集中できます。

ベンチャー企業にとって、有能な社員等の採用は困難であり、また収益も安定していないことが多いため、管理部門の人件費という形で固定費が増加することはリスクと言えます。しかし、BPOの場合、いざと言う時は委託業務量を減らしたり、内製化することもできます。コストのバッファーを保持できるメリットは企業にとって大きいと言えます。

また、コストメリットとしても派遣社員だと月額40-50万円程度はかかりますが、ベンチャー企業レベルであれば新卒社員並みの支払でBPOサービスを受けることができます。

今後の企業にとって、管理部門業務のBPOは経営の重要なオプションと言えます。